イーサネットのコネクタの結線方法

安いしね

Ethernet用のケーブルは簡単に自作できます。

等のメリットがあります。必要な道具がちょっと高いのが難点ですが、 ネットワークをいじっている所では、自作した方が良いでしょう。 頻繁にネットワーク工事をするのに一々ケーブルを買いに行くのでは面倒です。

結線

Ethernetの10Base-T、100Base-TX等用のツイストペア線の結線は ANSI/TIA/EIA-568-Aという規格で決まっています。 10Baseではこの通りに結線しなくても動くかも知れませんが、 100Baseでは通信できないでしょう。 10Base-T、100Base-T等の通信では下の図右側で、橙と緑の線が使われます。 100Base-TXではカテゴリ5以上のケーブルが必要です。 1000Base-Tでは4ペア使います。1000Base-Tではカテゴリ5e以上のケーブル とコネクタが必要です。今売っているケーブルは大抵カテゴリ5eです。 カテゴリ6ケーブルも普通に売ってますが、コネクタと専用圧着工具が高価です。

ケーブルをよくみると、橙、緑、青、茶の各ペア毎によじりの回数が違うはずです。 通信に使われる信号線は必ず一組でよじってある必要があります。 このあたりはノイズ対策とか、 通信距離の問題なのでこの通りになっていないと100Baseで通信できないとか、 長いケーブルでは10Baseでも何らかの問題が出ると思われます。 実際、100Baseで10m以上の長さのケーブルでこの組合せになっていないと、 ほとんどスピードが出ません。pingは通るけど、 FTPやHTTPのような大量のデータを扱う通信がほとんどできない事がありました。

大手ブランドのケーブルでも、 どのメーカーとは言いませんが結構いい加減な結線の物が出回っています。 昔からあるPCサプライ品系大手ブランドのケーブルでも、 ひどいものになると中の被覆が不完全で、外側の皮を剥くと中の電線の 銅色が拝めるものがあります。よくまあショートしたりしないものですが、 こういうケーブルは使わずに窓から投げ捨てましょう。 秋葉原で調達するなら、電材屋さんやネットワークに強い店で調達しましょう。

結構知られていることですが、 Ethernet用の8本の芯線が全て結線してあるストレートケーブルは、 ISDNのS/T点インターフェース用にも流用可能です。 (自宅で30mほど引き回しています。) ISDNでは真中の2ペア、つまり下のT-568Bの結線図で緑と青のペアを使います。 ISDN用にはCat. 5のケーブルは必要ないはずですが、 Ethernet用を流用した方が安く上がります。 なお、ISDNはよじっていないケーブルを期待しているらしいので、 この流用は保証の限りではありません。

一般に出回っているケーブルには、

の2種類があります。普通はストレートケーブルがあれば十分ですが、 たまにクロスケーブルが必要なこともあります。 ストレートケーブルとクロスケーブルではコネクタの結線が違います。 この様な2種類の結線も規格で決まっています。 私が知る限り、市販のストレートケーブルで多く出回っているのはT-568Bという、 下の図の右側の結線です。

ストレートケーブルを作る場合は、 ケーブルの両端のコネクタをT-568B(下の図右側)に合わせて結線します。 クロスケーブルの場合は片側のコネクタをT-568Bに合わせて作り、 もう片方をT-568A(下の図左側)に合わせて作ります。 つまり、橙と緑のペアを入れ換えて作ります。

コネクタの両端をT-568Aで結線してもストレートケーブルとして使えますが、 T-568Bを使っているストレートケーブルが多いようなので、 ここではT-568Bを使います。ただし、規格ではおもにT-568Aを使うことと されているようです。どちらかに決めておかないと、 思い込みでコネクタをつけてしまってストレートケーブルのはずがクロスケーブルに なってしまったりします。

ツイストペア線の結線方法 (ANSI/TIA/EIA-568-A)
クロス片側(T-568A)ストレート、クロスもう片方(T-568B)
T-568Aの結線 T-568Bの結線

ケーブル作成に必要な道具

が必要です。圧着工具は5000円以上します。 大抵の圧着工具にはケーブルの切断や皮剥きに使う刃が付いていますが、 あまり当てにしない方がいいでしょう。 ということで、ニッパーもあった方がいいです。 なお、電話用のコネクタも圧着できる圧着工具も売っています。

ケーブル作成に必要な材料

最低限、

の二つが必要です。コネクタに被せる皮なども売っていますが、 邪魔なだけで無駄です。 場合によっては皮を被せるとコネクタが挿さらないこともあります。

ケーブルにも何種類かあります。最近売っているのは、 カテゴリ5(Cat.5)のケーブルと、エンハンストカテゴリ5(Cat.5e)、 カテゴリ6(Cat.6)のケーブルです。Cat.5eの方が若干高めですが、 どちらを買ってもいいでしょう。Cat.5eのケーブルを使う時はコネクタも Cat.5eにしなければ、作ったケーブル全体としては規格違反になります。 つまり、コネクタとケーブルのカテゴリはあわせる必要があります。 ただし、コネクタのカテゴリが低くても問題ないことが多いようです。

ケーブルの芯線にも2種類あります。昔から売っているのは、 芯線に単芯線を使ったケーブルです。最近、 取り回しがしやすいなどと称して芯線により線を使ったケーブルも売っています。 どちらを買っても構いませんが、 コネクタには単芯線用とより線用がありますので注意してください。 普通売っているコネクタは単芯線用です。 ただし、単芯線用のコネクタをより線のケーブルに圧着して使っていますが、 今の所問題はおきていません。

ケーブルは10kg巻(300mぐらい)で12000円から20000円ぐらいです。 両端にコネクタがついた100mぐらいのものを買って来て切って使うと安いですが、 10kg巻はケーブルを簡単に引き出せるような構造の段ボール箱に入っています。 300mも使わないよ、と言う場合でも便利な箱を買うと思って買いましょう(^^;; なお、値段の高いケーブルの方が良いケーブルだと思っていいでしょう(^^;; 下の写真に写っているケーブルはTSUKO製の 10kgで20000円程度のCat.5eケーブルで、数本束ねて綱引をしても通信できているなど、 やたらと丈夫なものです。その代わり、 かなり硬いので取り回しが大変です(大学のそばに工場があるらしい...)。

コネクタは100個で3000円ぐらいです。初期投資がちょっと高いです。 コネクタは10個入りでも売っていますが、5本しかケーブルを作れなかったり、 失敗すると4本になったりするので、100個入りが良いでしょう。慣れるまでは 結構失敗します。

10個入りコネクタや短いケーブルはPCを扱っている大きめの電気店にあるでしょう。 10kg巻きや100個入りコネクタは秋葉原でもPCショップなどには置いてませんが、 電材屋さんに行けば売っています。 私は昔からある電材屋さんだった(今も電材も扱ってるけど) PCショップで買っています。

作業手順

写真撮影:ニッシー西田(ニシーダー)
  1. ケーブルの外皮を剥く。圧着工具にケーブル剥き用の刃がついている ことがある。無い場合はニッパーで、中の線を傷つけないように剥く。 小さめのニッパーを使うと作業しやすい。
    外皮の剥き方(1) 外皮の剥き方(2)
    ニッパーで外皮を剥く(1)ニッパーで外皮を剥く(2)
    外皮の剥き方(3) 芯線を傷つけた例
    ニッパーで外皮を剥く(2) 芯線を傷つけた失敗例
  2. 芯線の撚りをほどいて、まっすぐに伸ばす。多めにほどくと 後の作業をしやすいが、クロストークが増えたりノイズに弱くなったりする ので、必要最低限にする。芯線が外皮に隠れるあたりから1〜2mm外皮の 中までほどくのが目安。
    芯線の撚りを解く
    芯線の撚りを解いてまっすくに伸ばす
  3. 芯線の切口をそろえる。ここが汚いと、コネクタの中でショートしたり して使えないケーブルができる。
    芯線の切口をそろえる きれいに揃った切口
    芯線の切口をニッパーでそろえる きれいに揃った切口
  4. 上の図の順序に芯線を並べて、コネクタに差し込む。慣れるまでは ここで順序が入れ替わったり、一本だけ奥まで挿さらないなど、失敗する ことがある。上の図の通りに差し込めるまでやり直す。
    芯線を並べて差し込む
    芯線を正しい順序に並べてコネクタに差し込む
  5. 芯線が正しくコネクタに差し込まれていることをもう一度確認して圧着する。
    圧着する 完成品
    圧着する 完成品どアップ

完成したら、ノートPCなどに繋いでpingが通るのを確認しておきます。 不良品をネットワーク構築に使ってしまうと(特に新規構築)、 目も当てられません(;_;)。 クロスケーブルを作ったときは、クロスケーブルだとすぐに判るように、 ケーブルにマジックでクロスと書いておくか、荷作り用のタグなどにクロスと書いて つけておきましょう。後で判らなくなります。

慣れればほぼ百発百中ですが、慣れるまでは失敗しまくるでしょう。 練習する以外にありません。